第3章 研究炉
§2 研究炉の整備状況

1.JRR-2

 日本原子力研究所の第2号研究炉であるJRR-2は,CP-5型と呼ばれるもので,設計熱出力は1万キロワットである。この研究炉は,すでに,35年10月に臨界に達し,36年11月に3,000キロワットの出力に達した。
 しかし,設計出力に到達させるためには,20%濃縮ウランでは,製造過程で,ウランの偏析が大きくなるので,より高濃縮のウランを使用することが望ましいと判断し,90%濃縮ウラン燃料を第2次装荷燃料として使用することとなった。そして,37年1月に米国B&W社と日本原子力研究所との間で,ETR型燃料要素30本の燃料加工契約を結んだ。
 37年3月にその燃料が米国から到着したので,交換する運びとなり,月末から4月にかけて,旧燃料の取出し作業が行なわれた。
 37年4月,制御系,冷却系等を点検整備の後,新装荷燃料による臨界実験が実施されたが,結果は順調であった。その後,原子炉特性の測定にひきつづいて,9月から出力上昇試験が再開された。
 10月には1万キロワットの出力上昇試験が行なわれたが,1万キロワットの全出力で定常運転をつづけるには,なお,解決すべき若干の問題があるので,取りあえず6,000キロワットで使用されることになっている。
 JRR-2は,37年に入ってから,種々の装置を取付けて,所内ばかりでなく,広く所外の共同研究利用に供せられている。すなわち,固体物理学研究のための中性子回折装置,核物理学研究のためのクリスタル・モノクロメーターやスロー・チョッパー等がJRR-2に取付けられた。
 また,材料研究のための照射装置は,すでに取付けられたもののほかに現在取付け準備がすすめられているものもあり,この面での利用が期待される。


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