第8章 その他の研究開発
§2 原子炉材料

2−9 原子炉用有機冷却材

 原子炉冷却材として有機材を使用する場合,水と較べて蒸気圧が低いので高温における冷却系の耐圧を低くすることができる。しかし,有機材は放射線の影響を受けやすく,熱にも不安定なので,この点についての改善が望まれている。このため,36年度から民間企業において,原子炉冷却材に使用する有機材の特性試験が開始された。すなわち,試料有機材を約420〜450°Cに加熱し,圧力,温度および時間の関係を求め,また,長時間の加熱の結果発生してくる高分子あるいは低分子の不純物の除去について研究が行なわれた。さらに,加速器を用いて,放射線が有機材の重合あるいは分解におよぼす影響が研究された。このほか有機材の核的特性を明らかにするため,有機材中の中性子分布の測定なども並行して行なわれた。


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