第8章 その他の研究開発
§2 原子炉材料

2−5 Ag-In-Cd合金およびハフニウム

 Ag-In-Cd合金およびハフニウムは,ともに中性子吸収特性が優れているため,原子炉制御棒として開発がすすめられている。
 Ag-1n-Cd合金は,冶金的にも安定で加工性にすぐれた点が将来有望視されており,米国のヤンキー炉やベルギーのBR-3に用いられて良好な成績を収めている。このためわが国でも民間企業において,この合金の製造とその改善について研究が行なわれた。この結果,Ag-In-Cd合金に第,4成分としてアルミニウム,錫等を少量添加した改良合金を工業的に得るための技術の基礎をかためることができた。
 ハフニウムについては,その工業的製造が米国で行なわれているのみなので,この国産化をはかるために民間企業で研究が行なわれた。すなわち最も安価に高純度のハフニウムを得ることができると考えられている四塩化ハフニウム還元により米国AEC規格のハフニウムスポンジの製造研究が行なわれ,各工程の基礎条件を得ることができた。スポンジ状ハフニウムは,加工が困難なので,さらに高純度のものを得るためにも,別法による精製法の研究を行なうべきものと考えられている。また,新たに,ハフニウム加工材の製造および加工上の資料を得るために,原子炉級ハフニウムの鋳塊製造,加工条件および熱処理条件の検討,機械的性質の測定,耐食性の試験,金相的検査,溶接性試験および総合的見地からのハフニウム評価のための試験研究が民間企業により開始された。


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