第7章 規制と防護
§4 検査

4−3 アイソトープ等使用事業所の検査

 アイソトープ,加速器等の使用事業所は,年々増加し37年3月末で,その総数は,942ヵ所に達した,これらの事業所は,施設および従業者の健康管理等が適正に行なわれているかを調べるために放射線検査官によって検査をうけることが規定されているが,36年度に行なわれた検査実施件数は337件に達し,関東近辺の中距離地域の検査は,主として,放射線検査車によって行なわれた。これまでに実施された検査によると,アイソトープまたは放射線発生装置の使用事業所の状況は,次の通りで,満足でない事業所もみられ,その改善の指導に努力している。
(1) 施  設
 全般的にみると,新設施設は良好であるが,既存施設を改善したものあるいは予算の裏付けのないものには,不十分な点がみられる。機関別には,国立試験研究機関および民間には良好なものが多いが,大学には不良施設がかなり多い。病院については,コバルト照射装置など大線源施設は良好である。また,ラジウム針等の小線源関係には,これまで老朽施設がみられたが,最近は,かなり整備されてきつつあり,耐火性能の見地からも施設の再検討がすすめられている,
(2) 管理組織
 大学,病院,中小企業等においては放射線管理組織,主任者の責任,等について一部に不明確な点が見られ さらに今後,指導の徹底が必要と考えられる。
(3) 測定および記録
 外部線量の測定は,測定結果の記録および保存については,一部完全でないものがみられる。
(4) 健康管理
 健康管理はかなり良好であるが,被ばく管理の完壁を期するために測定器具の検定,集積線量の評価方法の統一化が要望されている。
(5) 危険時の措置
 火災対策,紛失,盗難防止については,管理組織の不明確等のため一部の大学,病院などで不十分な点がみられる。
 これらのアイソトープ等使用事業所の状況を改善するため,検査官の派遣,関係法令の周知,取扱いに関する指導等が行なわれている。


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