第7章 規制と防護
§4 検査

4−1 原子炉の検査

 36年度においては,JRR- 2が36年末の出力1,000kWから3,000kWへの運転出力上昇にともなう性能検査に合格し,また,立教大学,近畿大学,日立製作所,東京芝浦電気の各研究炉については,35年度の施設検査に引き続いて,目下性能検査が行なわれている。また,  JRR-3は,ほぼ組立が完了し武蔵工業大学研究炉とともに施設検査が実施され,35年10月,20%濃縮燃料によって臨界に達し,その後,原子炉の停止装置,非常用安全装置,警報装置等の作動状況,制御および反応度抑制効果等の確認が行なわれた。さらに,4月下旬に1,000kW24時間連続運転が実施され,6月下旬,最大使用熱出力1,000kWに対する性能検査合格証が交付された。
 その後,11月中旬から,最大使用熱出力3,000kWについての性能検査が開始された,検査は1,000kW,2,000kWおよび3,000kWと階段的に行なわれ,燃料破損検出装置,41Arの放出量,クセノンの蓄積に伴なう反応度の余裕等についての確認が行なわれ,37年1月,出力3,000kW運転についての性能検査合格証が交付された。また,その後2次装荷燃料として,これまでの20%濃縮燃料を90%濃縮燃料に変更することになり,37年3月には,その施設検査が行なわれた。今後この新燃料による出力上昇について性能検査が実施される予定である。
 立教大学研究炉の建設工事は35年1月に開始され,36年3月炉心プールタンクの設計変更などから,工事がおくれたが,炉室建屋の耐震強度および遮蔽能力の確認,原子炉冷却系の漏洩の有無の確認,炉心タンク溶接部検査などの施設検査が,35年5月から実施され,37年2月施設検査合格証が交付された。
 一方,性能検査としては,11月末から原子炉停止装置および警報装置の確認が,また12月8日には臨界実験が行なわれ,臨界実験操作の安全性確認および臨界状態が確認された。引き続き制御棒効果の測定および超過反応度の測定が,また,37年2月には,最大使用熱出力100kW運転試験が実施され,5月に性能検査合格証が与えられた。
 また,近畿大学研究炉,日立研究炉および東芝研究炉は,それぞれ,36年11月,12月および37年3月臨界に達したが,現在は制御棒効果,超過反応度,反応度係数等について,特性実験が実施されている。


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