第6章 放射能対策
§5 調査結果

5−2 野菜,牛乳,食品などの放射能

 野菜の放射能については,放射線医学総合研究所および分析化学研究所が地方衛生研究所で採取した野菜について分析を行なっている。
 分析化学研究所が行なった野菜中の137 CSの分析結果によると,12月に採取した展開葉菜では,23μμC/gK*,37年1月では24μμc/gKとほぼ同じ値を示している。


* カリウム1g中に含まれる放射能を示す。

 牛乳の放射能については,農林省畜産試験場および分析化学研究所が地方農業試験場および地方衛生研究所の協力の下に90Srの分析を行なっている。畜産試験場における測定結果をみると,第6-7図の通りで,36年9月〜11月の値は,8月以前の約2倍となっている。特に11月10日前後に搾乳されたものは,かなり高く,北海道,裏日本では約20μμc/gCa*を示した。


* カルシウム1g中に含まれる放射能。

 また,公衆衛生院が調査した36年10月〜12月における牛乳中の131Iの分析結果は第6-2表の通りで,英国の結果と比較すると東京の方がかなり低い値を示している。

 国立栄養研究所は,国内各地より,36年9月から11月の間に採取した日常食品中の90Srの分析を行なったが,この分析結果から,1人1日あたりの90Sr摂取量の平均値を求めると,第6-3表のとおりである。
 この表によると,36年9月〜11月の値は,かなりのばらつきがあるが,同年8月における値に比しわずかに増加しているようにみえる。

 また,放射線医学総合研究所おいては,地方衛生研究所で36年12月に採取した天水および上水(原水)のストロンチウムの分析を行なったが,90Srは,天水では約2μμC/l,上水では0.04μμc/l以下で, 89Srは,これより1桁高い値を示した。ただし,この値は,浄水処理前のものであるから,処理後の蛇口水では低下している。


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