第5章 放射線の利用

§3 アイソトープの利用

 アイソトープ使用事業所数は,第5-4図のように33年4月放射線障害防止法の施行時における505事業所から年々着実に増加し,37年3月現在942事業所に達している。
 日本放射性同位元素協会が36年度に出荷したアイソトープ部門別出荷件数をみると,第5-5表のように35年度に比べてわずかに減少しているが,1,000キュリー以上の大線源は,35年度の12件から35件に増加している。
 この35件中27件は医学関係で,治療用に利用され,理工関係の7件および農業関係の1件は照射試験用に利用されている。
 36年10月には京都において,第4回アイソトープ会議が開催され,参加者延べ2,000名,発表された論文数は242編に達した。このうち海外からの参加者は,国際原子力機関および11ヵ国から48名が出席し,30編の論文が発表された。部門別論文数は放射線化学47編,医学40編,理学38編,工学33編,農学28編,測定技術24編,生物学18編,安全取扱技術14編となっている。
 このようにアイソトープの利用は大学,研究機関,民間会社,病院などにおいて基礎および応用の各方面に広く利用されているが,以下に36年度中に医学関係,理工関係,農業関係の部門においてなされた主な出来事についてふれてみる。


目次へ          第5章 第3節(1)へ