第5章 放射線の利用

§2 アイソトープの輸入

 アイソトープの利用は年々増加しているが,その供給は,ほとんどが外国からの輸入に仰いでいる。36年度のアイソトープ輸入量は,約7万5000キュリーに達し,第5-1図および第5-4表のように,35年度の約5万6,000キュリーを大巾に上廻っている。

 これは主に,35年度に引続き60Co大線源が大量に輸入されたことによるものである。ちなみに,36年度に輸入された1,000キュリー以上の大線源は,35年度の12件から35件に増加している。また,これら35件のうち,従来使用していた線源が源衰したために補充したものわはずか4件で,他は新規購入である。131Iの輸入量も大きな伸びを示しているが,これは放射性医薬品の製造のためで,わが国で本格的に生産されるまでは今後も増加するものと思われる。
 アイソトープの輸入に費された外貨は,第5-1図のように36年度は約65万ドル(約2億3,000万円)で35年度より約13万ドルの増加になっている。

 アイソトープの価格は,第5-2図のように年々低下してきたが,36年度は35年度と同価格で,今後これ以上の低下はあまり期待できない。
 第5-3図は36年度における国別アイソトープ輸入金額を示しているが,最初は,米国および英国から大部分を輸入していたが,近年になって,カナダからの輸入が急増した。これは60COの高比放射能のものおよび需要者の希望に合致した形状のものが得られるからである。


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