第3章 原子炉
§5 臨界実験装置

5−4 日立臨界実験装置および日本原子力事業臨界実験装置

 日立製作所では,低濃縮ウラン燃料および軽水炉の研究を行なうために,川崎市王禅寺の日立中央研究所王禅寺分室(TAIC研に隣接)に軽水臨界実験装置(沸騰水型)を建設中である。36年1月に,核燃料使用許可申請書が提出され,36年9月に許可された。37年5月現在建屋の建設がほぼ終了し,日立研究所で装置および燃料の製作加工がすすめられている。これに使用される燃料は,濃縮度1.5%および2.5%の酸化ウラン粉末を焼結しセラミクペレットとし,アルミニウム被覆管に収めたものである。なお,装置は,37年8月に臨界に達することとなっている。
 日本原子力事業でも,動力用原子炉ならびに燃料要素等の炉物理的実験を行なうために,同じく軽水臨界実験装置(沸騰水型)の装置を37年2月に申請した。本装置に使用される予定の燃料は,1%,2%および3%の二酸化ウランを,ペレットに成型加工して焼結したものを被覆管に収めたもので,棒状燃料要素および環状過熱型燃料要素の二種類がある。前者の被覆管はアルミニウム製で,後者の被覆管はステンレス製である。37年5月現在,同装置は,原子炉安全専門審会で審査中であり,臨界予定は38年3月となっている。


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