第3章 原子炉

§3 動力試験炉

 動力試験炉(JPDR)は,軽水型動力炉の国産化に貢献すること,すなわち,
 (1) 原子力発電所の建設,運転,保守に関しての一貫した実際経験を得ること。
 (2) 動力用原子炉系の特性を理解するための試験,実験を行なうこと。
 (3) 燃料要素の性能試験,舶用炉への応用研究,さらに将来国産部品の特性試験,寿命試験などの研究開発を行なうこと,
を目的として,原子力研究所に建設されている。これは熱出力4万6,700kW,電気出力1万2,500kWの自然循環沸騰水型原子炉である。
 35年8月,原子力研究所と米国IGE社の日本における子会社であるG EJ社との購入契約が調印され,9月に内閣総理大臣から設置が許可され,36年1月から本格的な建設業務が開始された。
 まず原子炉格納容器の建設工事については,基礎工事が36年3月に開始され8月に終了,ひきつづいて容器外殼鉄板の組立がはじめられ,37年2月に耐圧試験および漏洩試験が行なわれた。5月現在内部コンクリートの打設工事が開始された。圧力容器については,37年3月にほぼ工場製作が終り,内部構造物も工場製作がほとんど完成し,施設検査が行なわれている,タービン室その他建屋工事,復水器冷却水工事も進捗している。燃料は米国内で製作がすすめられており,3月に原子力研究所から検査員が派遣され,原子力局からもこの検査に立合った。米国GE社との設計仕様検討は継続して進められており,総合設計検討会は現在迄2回行なわれた。設計の進捗にともない,36年11月,燃料アセンブリーの一部の加工法をスエージング加工法に更変する申請がなされた。安全専門審査会が審査を行ない,これは1月に許可された。
 また,36年8月から,37年1月までに,延10人の運転要員が米国に派遣され,運転訓練を受けた。
 37年度の建設計画としては,圧力容器据付工事等の終了後 9月頃から本格的な機能試験にはいり,38年春に臨界試験を行なうこととなっている。


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