第3章 原子炉

§1 概 況

 昭和32年8月27日,原子力研究所東海研究所において,JRR-1により初めて原子の火がともされて以来,5年の歳月が流れた。その間,わが国の原子炉の建設は,原子力研究所を中心に,大学や民間企業において着々と進められてきた。
 35年10月には,同研究所に二番目の原子炉JRR-2が完成し,36年には11月に近畿大学の原子炉が,12月には立教大学と日立製作所の原子炉が臨界に達した。37年には,3月に東京芝浦電気の原子炉が臨界に達し,さらに秋には国産一号炉といわれる原子力研究所のJRR-3と五島育英会(武蔵工業大学)の原子炉が,38年春には動力試験炉JPDRがそれぞれ完成することとなっている。
 また,全国大学の共同利用原子炉として,京都大学に付置される京都大学研究用原子炉と,遮蔽研究のために原子力研究所に設置されるJRR-4は,原子炉安全専門審査会の審査を経て,それぞれ37年3月と4月に内閣総理大臣から設置許可が与えられた。わが国最初の実用規模の発電用原子炉である日本原子力発電の動力炉ば,40年3月の完成を目指して建設中である,このほかには,三菱電機がタンク型研究炉の設置を申請しており,目下前記審査会で審査中である。
 なお,JRR-2 については,36年12月に3,000kWの出力上昇試験に合格したが,当初の20%濃縮ウラン燃料を,90%濃縮ウラン燃料に取替える作業が,37年4月に行なわれ,8月頃までには,出力を7,000kWにあげて運転することとなっている。
 37年5月1日現在のわが国の原子炉設置状況は,第3-1表に示すように運転中のもの6基,建設中のもの6基で,設置許可申請中の1基を含めると計13基である,13基という数は,米国,英国・ソ連,フランス,西独に続いて世界で第6番目である。13基の設置者別の内訳をみると,原子力研究所に5基,大学に4基(国立大学1基),民間企業に4基(発電会社1基)であり,目的別にみると,研究炉が11基で,動力試験炉,動力炉が各1基である。
 臨界実験装置については,原子力研究所が半均質型と水均質型とを建設中であったが,36年1月と6月にそれぞれ臨界に達した。また,原子力研究所は,JPDR等の燃料要素等の炉物理試験のために,濃縮ウラン軽水型の臨界実験装置の建設を行なっており,同じく濃縮ウラン軽水型を,低濃縮ウラン燃料および軽水炉の研究のために日立製作所が建設中である,日本原子力事業も,動力炉ならびに燃料要素等の炉物理試験のために,同型の臨界実験装置の設置を申請しており,目下原子炉安全専門審査会で審査中である。
 なお,臨界未満実験装置については,原子力研究所のブランケット指数実験装置,東京大学の臨界未満実験装置をはじめとして,5基が使用中であり,4基が建設中もしくは,計画中である。


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