第1章 総論
§2 国内の動き

2−8 放射能対策

 36年9月のソ連による核爆発実験の再開と,これにつづく37年4月の米国による核爆発実験の再開とは,わが国に放射性降下物の蓄積が増加するかも知れぬという問題をひきおこした。
 こうした情勢に対処して,36年10月には,三木科学技術庁長官を本部長とし,関係各省によって構成される放射能対策本部が内閣に設けられ,放射能対策について総合的な検討が図られた。この対策の実施については36年度予算から予備費が支出され,放射能監視組織の強化拡充と放射能対策研究とが行なわれた。また,原子力委員会でも従来の放射能調査に加えて,放射性降下物による障害の防止対策の基本に関し,企画,審議および決定を行なうこととなり,さらに,原子力局に放射能課が設けられて,行政施策の充実がはかられることとなった。


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