第1章 総論
§2 国内の動き

2−7 国際交流と協力

 37年6月,池田原子力委員会委員長が,欧米各国を訪問して一層友好関係を深め,また同年9月には,三木原子力委員長がウィーンで開催された第5回国際原子力機関総会に出席し,原子力開発を進めつつあるアジア地域の諸国に対して,わが国の知識,経験を提供して,国際原子力機関の国際協力事業を拡大強化するため,わが国にアジア地域のアイソトープ訓練センターを設置する用意のある旨を明らかにした。
 さらに,36年11月には,ユーラトム委員会のヒルシュ総裁の一行が,わが国政府の招きに応じて来日し,関係各方面と意見を交換した結果,今後,情報交換等の協力を通じて日本とユーラトムとの間の関係を一層密接にすることとなった,この一行の来日により,わが国とユーラトムとの関係が今後一層緊密化するものと考えられ,その意義は大きい。
 また,36年12月には,日本および米国の原子力産業会議の発意により,東京において日米原子力産業合同原子動力会議が開催され,日米両国産業界の関係者による多くの意見の発表と討論とが行なわれた。
 これに出席した米国原子力委員会のウィルソン委員は,米国の今後の燃料政策について,
 (1) 米国は海外の原子炉に対して燃料を25年の長期供給保証をもって供給する用意がある。
 (2) 需要者はこの長期契約を5年前に予告を行なうことによって解除することができる。
 (3) 米国政府が国内で出来たプルトニウムを買取保証するのは,1963年6月末までであり,それ以降は,プルトニウムの価格は需要供給の関係を通じて公開市場の機能によって決定されることになるであろう。
 (4) 同時に,特殊核物質の民有を認めることを検討することが必要になろう。
 という趣旨の演説を行なった。この演説に盛られた米国の方針は,わが国の今後の燃料政策を決定する上にきわめて大きな影響を及ぼすものである。
 このほか,36年6月に来日した米国原子力委員会のヴァンダーワイデン原子炉開発部次長による日米研究協力の提案は,国際協力の進め方について共同研究という新しい面を開くものであり,現在その具体化について日米両国政府間で話し合いが進められている。


目次へ          第1章 第2節(8)へ