第1章 総論
§2 国内の動き

2−6 燃料の入手と所有方式

 各種原子炉の設置あるいは研究活動の進展にともない濃縮ウランの需給は増加の一途をたどっているが,従来の方式では,日米協力協定に基づき燃料の引き取り1件ごとに行政協定を締結するという非常に煩雑な手続きが必要であった。これを改善するため,36年5月に包括的な行政協定が日米両国間で署名され,今後は一定の様式の発注書に所要事項を記入するのみで,比較的簡単に特殊核物質の賃貸借を行なうことが可能となった。また,37年2月には,研究特殊核物質の購入協定が署名され,この面からも研究の促進が図られることになった。
 核燃料所有方式については,さきに33年の原子力委員会決定により「しばらくの間は原則として民間にその所有を認めないこと,ただし内外における諸条件が整うに従い民間の所有を考慮すること」としたが,原子力災害補償制度の確立をはじめ内外諸条件が整ったと見られるにいたったため,原子力委員会は,36年9月「原子炉等規制法に規定する許可を受けた者に限り,特殊核物質以外の核燃料についてその所有を認める」こととし,また,「特殊核物質については,ひきつづき国有または公的性格を有する機関に所有せしめる」ことを決定した。この決定を受けて,閣議においても「天然ウラン,劣化ウランおよびトリウムについては,民間にその所有を認める」旨の了解が行なわれた。
 これら各種の措置により,従来の燃料入手と所有方式についての懸案の一部が解決した。


目次へ          第1章 第2節(7)へ