第10章 科学技術者の養成
§3 国内における養成

3−2 放射線医学総合研究所

 放射線医学総合研究所の養成訓練業務には,放射線防護課程と放射線利用医学短期課程とがある,前者は35年1月に,後者は37年2月に開設された。36年度には,このほかに,放射線防護国際課程(IntelnationaITra一iningCourseinRadiationHealthandSafety)が開かれ,国際協力に大きな役割を果した,まず放射線防護課程については,36年度には,5月と7月にそれぞれ第4回と第5回が開かれ,60人が研修を修了した。第10-4表に第1回から第5回までの内訳を示すが,原子炉研修所およびラジオアイソトープ研修所と比較すれば,民間企業からの研修生数が少ないようにみうけられる。

 放射線利用医学短期課程は,36年度に新設された課程で,医学に従事する者に対して,主としてラジオアイソトープを臨床上応用するための基礎理論と技術およびこれに関連する防護知識を与えることを目的としている。対象は臨床の医師もしくは歯科医師で,募集人員は16人で期間は6週間である。この課程では,実習時間を多くして,基礎的な内容を広範に習得し得るよう配慮されかつ放射線測定法の実習が重点的に行なえるよう留意されている。第1回は,37年2月中旬から3月下旬にかけて行なわれ,国立病院,国公私立大学付属病院,国立大学付属研究所から16人の参加者があった。
 放射線防護国際課程をわが国で開講することは,34年に世界保険機関(WHO)から要請されていたものであるが,35年に,国際原子力機関(IAEA)からWHOと共同で技術援助をしたい旨の申し入れがあり,36年にはいってから,WHO,IAEAと日本政府の共催で実施することが決定した。
 本課程の実施にあたって,IAEAは外国人研修生に対するフェローシップの供与を,WHOはコースディレクターおよび派遣講師に要する費用と教材費の一部を,日本政府は,その他の諸経費および機械,設備の供与と実習指導を分担した。
 本課程は,アジアおよび西太平洋地域13ヵ国からの16人と日本人6人計22人を対象に,36年10月24日から4週間にわたり,講義時間40時間,実習42時間,セミナー8時間合計90時間の研修が行なわれた。講師は,コースディレクターを含む4人の米国人と西村原子力委員を含む3人の日本人であった。外国人研修生の国別内訳は,次のとおりであった。
 韓国,ニュージランド,タイ(以上2人ずつ)オーストラリ,ビルマ,カンボジア,セイロン,台湾,インド,インドネシア,パキスタン,フィリッピン,べトナム(以上1人ずつ)


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