第9章 核燃料
§2 わが国の開発状況

2−9 再処理

 再処理に関しては,原子力委員会再会処理専門部会がわが国の当面の研究開発方針の検討を行ない,35年の5月にそれまでの検討結果をまとめて中間報告を作成した.この報告によると,わが国の原子炉の設置が順調にゆくと,昭和41年にウラン換算約60トン程度の使用済燃料が生ずることとなり,その後も次第に増加する傾向が予想されるので,当初は外国にて再処理をするとしても,将来は国内で再処理を行なうことが要求されるとして,その体制を整える必要があるとしている。
 わが国では現在原子力研究所と燃料公社が協力して再処理に関する研究を進めており,すでに原子力研究所には溶媒抽出法による工学的実験装置が組立てられて,各種の基礎工学データについて実験が行なわれているが,原子力委員会核燃経済専門部会では1トン/日の使用済燃料処理能力を有する溶媒抽出法による仮想工場の概念設計を行なって,将来の事業化にたいする検討を行なっている.このほか,イオン交換法,フッ化物分溜法および高温や金法などの方法について原子力研究所で基礎研究が進められている。
 再処理事業は,わが国では法律的には燃料公社がこれを行なうことと定められているが,技術的あるいは経済的にも今後なお慎重な準備が必要であるので,諸外国における事業計画とにらみ合せて36年4月には,海外における再処理の動向を調査する再処理調査団が派遣された。
 このような状況にかんがみ,原子燃料公社は再処理の事業化に関する検討をより組織的に円滑に行なうことを目的とした再処理準備室を設けて活動を行なうこととなっている。


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