第9章 核燃料
§2 わが国の開発状況

2−6 酸化ウラン燃料の加工

 二酸化ウラン燃料については31年以来セラミック燃料体としてのペレット成型に適した二酸化ウランの製造法はもちろん,ペレット製造法について各社で盛んに研究され,また,加工法について熱間押出法,スエージング法につき研究されている。
 また,資源技術試験所では,湿式法によるセミック燃料用二酸化ウラン粉末の製造に関する研究を行なっている.この研究は,精製した炭酸ウラニル溶液を原料とし,二酸化ウラン粉末を触媒にして,オートクレーブで加圧水素還元により高純度,かつ微細な粉末を折出させるものであり,35年度は主として次の事項について研究し,所期の目的が達せられた。
 すなわち核となる二酸化ウランの製法,形状と還元能力との関係の検討,および加圧水素還元におよぼす各種要因の影響の研究等を行なった.36年度はひきつづき湿式法で得られた二酸化ウラン粉末の諸性質の研究,特にその焼結性に関する研究を行なっている。
 一方,33年以降民間企業で開発されたスエージング法による二酸化ウラン燃料体の加工に関する研究は,ペレットの成型工程を省略しうる点に特色があり,36年2月米国,カナダからそれぞれ,スエージング用二酸化ウラン20kg,1kgの引合があり,とりあえず米国にたいして100g,カナダに1kgを,実験の報告を提出してもらうという条件で無償提供した。
 またスエージング法により成型したステンレス鋼被覆燃料棒の照射試験も35年末から米国で実施中であり,またロール法による二酸化ウランを従来の方法で成形した燃料棒についても米国で照射試験を行なうよう準備中である。
 これらの研究はパイロットプラントによる月産数百kg程度の試作研究として民間企業ですすめられており,この技術を活用し東京大学臨界未満実験装置用燃料約2tの製造が行なわれた.一方濃縮ウランよりの燃料体製造としては,原子力研究所の半均質臨界集合体用の20%濃縮二酸化ウラン黒鉛デスクが製造され現在臨界実験が行なわれている.また,小型教育用原子炉に使用する10%濃縮ウランのペレット製造も国内で行なうよう目下準備中である。
 このように天然ウラン,濃縮ウランの燃料体の製造も国産技術による開発が着々と進められている。


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