第9章 核燃料
§1 概 況

1−2わが国の核燃料の需給

(1) 需 要
 わが国の核燃料の需要は,現在のところ研究のための需要がほとんどであって,その量はまだ少ない。
 核燃料の需要は原子炉のほか,消費こそしないが臨界実験装置あるいは臨界未満実験装置を建設する際にも相当量の核燃料が必要である.その他,将来において各種核燃料の加工と生産を国内で行なう場合に備えての試験研究のためにも,毎年若干量の需要がある。
 現在,わが国の原子炉のための核燃料の需要は新しく建設される炉の初期装荷準備による需要とJRR-2の燃料の取換えによる需要とである。
 現在運転を行なっているか,設置計画が具体化している原子炉の燃料所要量は(第9-2表)のとおりであって,JRR-3およびコールダーホール改良型発電炉が天然ウランを使用するほかは,いづれも濃縮ウランを使用する。

 臨界実験装置あるいは臨界未満実験装置は現在設置計画が進められているものを含めて数基あって,おのおのその実験目的にしたがい,天然ウランを使用するものは天然ウラン2トン前後,濃縮ウランを使用するものは数キログラムの濃縮ウランの需要を生ずることとなる.  ((第9-3表))

 試験研究用およびそのほかの需要は,ほとんど天然ウランまたはその化合物で,その量は数トンである。

(2)供 給
 わが国の核燃料の生産は,天然ウランについては資源的にはまだ探鉱試掘の段階で,若干量の埋蔵を期待はできても工業的に開発するにはまだ多くの時日を要する.現在ではその供給を輸入によっているが,国内関連産業の発展を期待して,できるだけウラン精鉱の形で輸入し,国内にて精錬,加工を行ない,需要者に供給する方針をとっている.すなわち輸入量の80%以上がウラン精鉱の形で輸入されている。 ((第9-4表))
 ウラン精鉱の輸入は燃料公社の輸入が多い((第9-5表))が,民間企業における輸入も漸次増大している。

 ウラン精鉱の輸入価格は,次第に低下の傾向にあり,契約単価平均は昭和33年度の9.47ドル/ポンドにたいし,昭和36年度は,4.82ドル/ポンドとほぼ半分近い値段にまで低下してきている.((第9-6表))一方,濃縮ウランについては35年度には原子力研究所の半均質臨界実験装置およびJRR-2に使用するための20%濃縮ウランがU-235換算で約19kg輸入された。


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