第9章 核燃料

§1 概 況

1−1 世界におけるウラン需給の動向

(1) 埋蔵量
 35年11月12日アルゼンチン共和国で「ウラン資源とその将来」の議題のもとに国際会議が開かれた。
 この会議で埋蔵量の算定は経済価値を限定してU3081ポンド当り8〜10米ドル以下とし,その結果(付録4-1)が発表された。
 一方ソ連圏はこの会議に参加しなかったが,1960年10月に発表された米国のマツキニー報告書によるウラン埋蔵量は金属換算で約27万トンないし54万トンと推定されている。
 付録 4-1をみるとジュネーブ会議当時とウランの推定埋蔵量は合計において大差ない。  (ジュネーブ会議では合計107万〜112万トン)。しかし従来世界的に豊富とされていたカナダ,南阿の両国は数字の上で減少を示し,フランスは現状維持であり,米国その他は増大している。

(2) 生産と需要
 第2回のジュネーブ会議では世界(ソ連圏を除く)のウラン(U308)の生産量は年間4万2,000トンと発表されたが,その後の国際情勢は需要供給の関係からこれを最高として次第に減少の傾向にあることは,一般に知られているところである。
 今回ブエノスアイレスの国際会議で発表された各国の今後の生産の予想もまさにこの傾向を裏書きしている.((第9-1表))

 また,ウランの最大の需要者である米国の長期買付契約では1961年の3万1,400トンから1967年の8,250トンに減少するという極めて激しい推移をたどることが予想されている。


目次へ          第9章 第1節(2)へ