第5章 原子炉

§3 動力試験炉

 動力試験炉の購入契約は,当初原子力災害補償措置等の基本的な問題で難航したが,この問題も解決し35年8月契約の調印が行なわれた。
 一方,原子力委員会から内閣総理大臣に対し,安全性等について設置許可基準に合致するむね8月に答申が行なわれ,政府により9月に設置が許可された。
 これにともなって,原子力研究所では9月からこの炉の製造業者である米国のGE社と現場の準備について打合せを開始し,10月にまず整地工事が開始された.また,現場道路工事,給水工事,電気工事,現場事務所の建設が並行して進められほぼ完了した。
 一方,炉設計検討会が,2月米国で開かれ原子力研究所からも係員が参加し,GE社の設計について詳細な検討を行なった.また,その動特性および安全性の研究,ドレスデン炉等の調査研究,冷却水として使用される久慈川水および海水の水質検査が進められている。
 なお,原子炉の価格は約28億3,260万円でうち約30%国産されることになっている.炉の完成予定は37年夏の予定である。
 このほか,動力試験炉用の臨界実験製置を,同じくGE社から購入することとなり,36年4月には契約が締結された。


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