第15章 科学技術者
§4 国内養成機関の状況

4−3 大 学

 第1節でも述べたように,長期計画は,原子力関係科学技術者の養成に関して,大学の役割を重視するとともに,関係各機関の密接な連携による養成計画の樹立を要望している。36年2月に,学術会議主催のもとに行なわれた「大学の教育研究と原子炉設置について」のシンポジウムにもみられるように,大学でも科学技術者養成訓練について真剣な検討が行なわれている。
 国立大学の原子力専攻学部学科の定員は,現在2大学56人,修士課程は5大学78人,博士課程は5大学39人で,公私立大学には,専攻学科は一つもない。35年度までに設置された国立大学の原子力関係講座部門数は講座31,研究施設の部門7,付置研究所の部門18計56で,大学院,学部学科については先に述べたとおりである。更に,36年度は(第15-7表)に掲げるように,11講座2部門が増設された。また原子力研究所の原子炉を,国立大学関係者が共同利用するための経費が約2,200万円計上された。これは,国立大学が研究用原子炉を1基も所有していない点を補うものとして,また原子力研究所と大学と接触の点からも注目すべきことである。更に大きな動きとしては,関西研究用原子炉の設置とプラズマ研究所の創設がある。関西研究用原子炉は京都大学に,プラズマ研究所は名古屋大学に付置されるが,それらが大学における共同研究の場として,ひいては科学技術者の養成の場として活用されることが期待されている。その詳細については,それぞれ,第5章「原子炉」および第8章「核融合」の項に述べてある。


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