第15章 科学技術者
§4 国内養成機関の状況

4−2 放射線医学総合研究所

 原子力開発利用を健全に進めるには,放射線防護安全設計や職場および周辺環境の放射線測定に従事する放射線安全管理者の養成は欠くべからざるものである。45年までに少くとも300〜350人の放射線安全管理者が必要であると考えられるので,放射線医学総合研究所養成訓練部が今まで行なってきた養成訓練は,今後とも研修内容の高度化,施設の充実をはかり長期計画に見合った養成を行なう必要がある。
 35年度には6月と10月にそれぞれ第2回,第3回の養成訓練を行なった。第1回から第3回までの研修生の内訳を(第15-5表)に示す。機関別の分類では,公社を含めた官公庁の研修生がほぼ半数を占めており,民間からの応募はラジオアイソトープ研修所と比較すればやや少ないようにみうけられる。

 上述した研修課程は放射線防護短期課程であるが,これとは別に,36年度の予定として,医学利用課程と国際課程(仮称)の開設が計画されている。前者は,医学に従事するもののために開設されるもので,病院部の運営の状況を考慮したうえで,内容時期等の具体化が進められる。国際課程は,東南アジアの人々を対象として国際原子力機関,世界保健機関,日本政府の共催のもとに行なわれる防護過程である。これは国際的にも国内的にも初めての試みであり,その成果が期待されている。原子力研究所および放射線医学総合研究所の養成訓練内容を取りまとめれば,(第15-6表)のとおりである。
 (第15-6表)に掲げてある課程のほかに,放射線医学総合研究所では,前述のように,36年度から2課程の増設を計画しており,これらと大学における養成とを併せて考えれば,わが国の原子力関係科学技術者の養成訓練体制は着々と進展しつつあるといえる。


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