第15章 科学技術者

§3 海外派遣状況

 35年度には,国際原子力機関のフエローシップを含めて76人が海外に派遣された。29年度からの合計人数は346人にのぼっており。その専攻別内訳と,人数の年度別の推移を示すと(第15-1図)のとおりである。これにより原子力関係の国内活動が活発になるにつれて,海外派遣も盛んになってきたこと,原子炉工学の知識技術の習得が大きな割合をしめていることがわかる。35年度派遣者の専攻別,所属別の分類は,海外派遣数が大体横ばいとなってきた33,34年度の傾向と同様で,原子炉工学関係が全体の半数を占め,核燃料および放射線利用関係はほぼ等しい。所属別では,民間企業からの派遣が全体のほぼ半分である。

 次に(第15-2表)として,国際原子力機関のフェローシップの付与状況を掲げる。36年3月末日現在,国際原子力機関に加盟している国は75カ国である。国際原子力機関は,加盟国から申請を受けてフェローシップを付与し適当な機関で研究させる。わが国からは33年度に3人,34年度に20人,35年度に23人の留学生が海外におもむいた。
 海外先進国の原子力関係科学技術の進歩を不断に取り入れるための海外留学と,優秀な科学技術者の有機的な連携をはかるための研究員の交流とは,原子力開発の技術が,広汎でかつ進展度がはやいだけに,わが国の原子力開発利用を促進する上に欠くことのできないものである。長期計画の促進に当って,今後派遣人員を増加していくことを考えねばならない。


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