第13章 放射性廃棄物処理

§2 研究調査状況

 放射性廃棄物の処理方法は放射能を濃縮減容して安全に隔離貯蔵するか,水,空気等により人間に無害な程度まで稀薄化して放出するのが主な方法である。
 放射性廃棄物の処理については原子力研究所を中心にその完全な処理法の確立,とくに処理コスト低下のための研究を行なっている。
 廃棄物のうち液体廃棄物が量も多く処理方法にも問題が多い。そのためイオン交換膜電解透析法,凝集沈澱法,無機イオン交換法等それぞれの液の放射性レベルの高低および液の性質により研究がすすめられておる。
 また,廃棄ガスとして大気中へ,廃液として海へ安全に放出することが考えられ気象状況,海洋調査も行なわれている。
 なお,理化学研究所では政府の委託により廃棄物の海洋投棄の際の容器の耐圧,耐蝕の研究を34年来続行している。また補助金により放射性物質の吸着除去の研究および廃棄物の簡易処理の研究の助成を行なっているが,問題の重要性にかんがみこの分野の研究はより一層重点をおいて継続される必要がある。


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