11. 原子炉製作等に関する甲種技術援助契約の方針

 原子力委員会では6月1日の定例会議で原子炉製作等に関する技術導入についての方針を次のとおり決定した。
 海外の原子力開発は,原子力発電を中心として実用化の段階に入りつつあり,わが国においても,原子力発電は,将来相当の規模で事業化される見通しであって,動力炉国産化の体制を進めるべき時期が近づいたものと認められる。
 一方このための国内産業界における研究開発は着実な進展をみつつあるが,先進国に格段の立遅れにあるわが国の原子力枝術水準の飛躍的向上をはかるために,海外の進んだ技術を導入することは国産化体制の整備に効果的であり,この受入れのための技術的基盤もすでに確立されているものと考えられる。
 したがって,当面の需要が比較的少ないために,企業の乱立による無用な混乱を避けねばならないことはもちろんであるが,次の諸条件を満す技術援助契約であれば,これを認可し,原子力産業の育成をはかることが適当である。
(1) 導入技術がわが国の原子力開発上効果的であること。
(2) 対価その他の契約条件が妥当であること。
(3) 導入相手会社が,技術的にも経営的にもすぐれ,将来の発展性が期待できること。
(4) 受入れ会社が,技術的にも経営的にも導入技術の消化,事業化に適当であること。
(5) 原子力産業の健全な発展を阻害し,生産秩序の混乱をまねくおそれのないこと。

 (注) 原子炉製作等に関する技術援助契約は,狭義の原子炉製作のほか,燃料材料等にわたり,かつ將来相手方の開発するものを含め,いわゆる包括的な形をとるものもあると思われるが,この場合においても燃料に関しては,規制法による事業の指定,許可は別途檢討すべきである。


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