第6章 放射線の利用
§2 アイソトープの利用

2−1 アイソトープの輸入

 わが国でのアイソトープの利用は,その当初から,大部分外国から輸入されたアイソトープによっており,使用状況の変化は輸入量の変化として表われている。
 ところで(第6-1図)に示されるごとく25年以来輸入量は急激な増加をたどり,30年には7万5,000ドル,31年には25万ドルと約3倍となり,さらに33年には56万ドルに達した。これは邦貨にして約2億円で,30年に比して7.5倍という著しい増加ぶりである。

 しかし,34年になって輸入金額は,約36万5,000ドルと33年に比し25%程度の減少を示した。この輸入金額の減少を輸入量(キュリーまたりミリキュリー)変化でみると(第6-2図)の通り60Co大線源の輸入量の減少が顕著である。これは60Co照射施設の建設が33〜34年にかけて非常に活発に行なわれ,大量の線源の購入が集中したため,33年にはその増加が著しく34〜35年には,それに比しあまり需要が伸びなかったことを示すものである。さらに第6-3図にかかげた品目別輸入金額の推移をみると,輸入金額の減少が60Co大線源の輸入の減少によることが明らかとなる。
 一方アイソトープの価格は米国を始め,カナダ,英国等における生産量の増加,製造コストの低下等により次第に下り,例えば60Coについてみると29年当時の価格の約3分の1になっている。ぞの他131Iなども著しい低下を示している。

 (第6-1表),および(第6-2表)にはそれぞれ輸入先別,核種別の輸入状況を示した。これによるとアメリカからの輸入は主として60Coであるが,この全体の輸入金額に占める割・合は33年の62.5%から45%となった。この他英国からは主として32P,131 I等の精製アイソトープを輸入した。


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