第5章 核 融 合

§2 わが国における研究開発の現状

 現在わが国には大学,国立試験研究機関,民間企業体をふくめて,約10の研究グループが実験装置を有しており,高温プラズマに関する物理現象の解明の第一段階にあるといえよう。35年度までに文部省予算により約1億4,460万円,原子力予算により約1億9,300万円が核融合の研究に支出され,また東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学に核融合関係の講座が設けられた。外国に比較すれば,実験設備は小規模であるが,大学関係においては主と“してプラズマ物理に関する研究が行なわれ,東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学にプラズマ発生装置の設置あるいは実験設備の整備が行なわれ,実験データーが今後,数多く発表されるものと期待される。原子力予算によって設置されたものには,電気試験所の反転磁界型環状放電装置があり,実験結果が学会等に報告されている。原子力平和利用研究委託費によっては,イオン・サイクロトン・レゾナンス方式によるプラズマ発生の研究,スカロップ型装置による実験が行なわれた。
 これらの研究は,わが国独自の着想にもとづくものもあり,その成果は注目されている。プラズマ発生,測定に関する技術的な研究は,大電流放電の制御およびイグナイトロンの開発,6mm波プラズマ測定,紫外線分光光度計の試作研究が34年度より開始された。


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