第14章 国際関係

§4 研究の国際的共同化への動き

 原子力の開発のために要する資金がきわめて多額にのぼり,かつ開発期間が長期を要するという点から原子力開発における共同研究が要望されることは当然であろう。すでに欧州においては,前述の欧州原子力機関が今後4〜5年間に約7千万ドルを共同の研究開発に用いることとしているといわれ,ユーラトムも共同の研究を進める体制をきづきつつある。これら欧州諸国の共同研究の動きに対して米国も参加する傾向が強まってきている。このような国際的共同研究に対して,わが国としてはまだこれまでのところ具体的な計画をもつに至ってない。
 一方小規模でばあるが国際原子力機関も主として国際的基準を制定する上に必要な研究を加盟国に委託して行なう方法をとっており,34〜35年には57件総額約46万ドルの委託契約を結んだ。わが国はこのうち,件数にしては7件と加盟国中最高の委託をうけ,金額では約3万ドルで全体の6.3%を占めている。国際原子力機関の場合は委託研究であって必ずしも共同の研究とはいいがたいが,国際的にみてわが国が他の諸国と共同して研究をすすめていく素地があることはこれによっても十分に示されているものと考えられる。


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