第13章 科学者技術者の養成

§1 概 況

 わが国が昭和29年から,原子力の平和利用を国の政策として取り上げ,その推進をはかって以来現在にいたるまでの期間においては,わが国の原子力の研究開発は,海外留学その他の手段で原子力の分野に習熟した既存の科学者技術者によって主に進められてきたといえよう。
 すなわち,昭和29年度以降34年度末まで,一般留学生,国際原子力機閣のフエローシップ等により270名が海外に派遣されて,原子力関係科学技術を習得した。また国内においては,原子力研究所,同ラジオアイソトープ研修所,放射線医学総合研究所等においてそれぞれ養成訓練の成果をあげてきた。大学関係においても34年度にひきつづき,講座学科等の新増設が行なわれている。
 原子力委員会は,34年1月「原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会」を設けて,原子力関係科学者技術者の養成計画を検討中であったが,同部会は35年4月これについて答申を行なった。
 初期の研究開発段階からさらに本格的な研究開発段階ないし実用化の段階に移行しつつある今田原子力関係科学者技術者の養成訓練は,従来のような急速な知識の吸収という段階から一歩進んで,原子力開発長期計画にみあった養成訓練を行なわねばならぬ新しい段階に到達しているといえよう。


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