第1章 原子力のあゆみ

§3 原子力予算の推移

 原子力の研究,開発および利用に関する予算の見積りと配分計画をたてることが,原子力委員会に課せられた重要任務の一つであることは,すでに前年度報告においても指摘されているとおりであるが,これは予算を通じてその年度の研究開発利用の方向と規模を決定することになるからである。
 まずいわゆる原子力予算として初めて計上された29年度2億5,000万円から,昨年度までの予算規模についてみると,30年度2億円,31年度20億円,32年度60億円,33年度78億円と毎年増加の一途をたどったが,34年度には74億円,35年度には77億円となっている。
 これは原子力研究開発の初期段階における建築物,諸機器,設備等の調達がようやく一応整備され,今後さらに飛躍的に発展するための基礎ができ上った段階にあることを反映するものであるといえよう。
 35年度予算による人員の増加状況についてみると,日本原子力研究所は191名増加して1,197名に,原子燃料公社は66名増員して476名に,放射線医学総合研究所は62名増員して225名になり,これら原子力研究開発の中核となる機関に2,000名に近い人員が従事することになった。また原子力局についても16名を増員して132名となり,原子力行政事務の増大にそなえることとなった。


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