第1章 原子力のあゆみ
§2 34年度におけるおもな発展

2−5 原子力船調査団の派遣

 前節において述べたように世界最初の原子力貨客船である米国のサバンナ号は34年7月21日進水し,またソ連では原子力砕氷船レーニン号が34年12月就航しており,英国でも運輸省が中心となり65,000重量トンタンカーの建造計画が進展しつつある情勢にかんがみ,わが国でも原子力産業会議が母体となり,関係各方面の協力のもとに政府,海運および造船界代表21名からなる調査団が編成され,34年10月から約2カ月にわたり欧米の実情調査のため派遣された。
 また35年5月ロンドンで開催された政府間海事協議機構(IMCO)の主催する海上人命安全条約会議(SOLAS条約会議)では,今回初めて原子力船の安全に関する部会が設けられ,SOLAS条約中に原子力船に関する規定を挿入することとなったので,わが国でもこれに参加し積極的な発言を行なうところがあった。なお新条約は35年8月までにソ連圏5カ国を含む40カ国によって署名されている。


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