第5章 原子炉用材料の開発
§3黒鉛

29年度以降,続けてきた原子炉用黒鉛の製造研究によって,ほう素含有率0.1ppm以下,比重1.7以上,異方性の少ない 原子炉用黒鉛の製造技術はほとんど完成の域に達した。しかしながら黒鉛を減速材または反射材として原子炉に 使用すると各種放射線により相当の損傷を受ける。このことは黒鉛を減速材または反射材として使用する原子炉 の構造設計に重大な影響を与えるため,これに関して十分に検討する必要がある。現在国内においては,これを試 験するに適した原子炉がないので,米国原子力委員会に依頼し米国における適当な原子炉により照射試験を行なう ため,国内で開発された技術により製造された黒鉛試料を米国に送った。すなわちアイダホおよびハンフォードの 原子炉を使用して総中性子照射量1020〜1021n/cm2程度の放射線量が黒鉛の物理的特性に及ぼす影響についての試 験を前年度に引続いて行なっている。


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