第5章 原子炉用材料の開発
§1概論

 原子炉に使用される材料に対しては原子炉内で起こる核的現象および原子炉内に保有されている放射性物質の存在を考慮しなければならない。そこでわが国においても29年度以降各種の原子炉用材料に対して,その製造,加工および使用について研究を開始した。すなわち原子炉用材料として特に重要な材料―減速,反射,冷却材としての重水,減速反射材としての黒鉛,減速反射材としてのベリリウム,容器材としてのステンレス鋼,アルミニウムおよびジルコニウム,遮蔽材としてのボラール等―について民間企業,日本原子力研究所および国立試験所において研究を行なっている。
 これらの研究によりかなりな成果が得られており,中には完成し,国産できる態勢ができたものもある。
 今後に予想される原子炉の建設にあたっては,これらの研究成果が大いに役だつと思われ,将来においてはすべてが国内技術によってまかなわれるであろうことが期待される。
 以下に主要な研究開発の状況の大要を述べる。


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