第3章 熱伝達回路の研究

 原子炉を設計するにあたって核計算とともに最も重要な問題の一つは炉心で発生する熱をいかに効果的に取り出すかということである。すなわち熱除去の方法の向上は原子炉の出力密度を増加させ,小型大出力炉の実現を可能にし,かつ,炉の建設費の低減に大きな影響を与える。したがって原子炉を設計する以前に炉心部の核燃料を他の熱源に置き換えて,熱伝達,冷却材流動の実験を十分に行なう必要がある。
 このため現存する動力炉型式のうち軽水冷却および炭酸ガス冷却の2方式について,また将来開発を予想される増殖炉を考慮して,液体金属冷却方式について実験が行なわれている。この実験研究は既存の設備および技術を利用するため日本原子力研究所の協力を得て民間企業が中心となって進められている。


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