第8章 科学者・技術者の養成
§5国内における原子力関係科学者・技術者の養成

1.日本原子力研究所における原子力関係科学者・技術者の養成

 日本原子力研究所は原子炉を初めとする大型の施設が集中する原子力研究センターとして,この分野の科学者,技術者養成に果すその役割が期待されている。ここでは原子力の開発に携ることによって現実的な養成訓練が行なわれているといえるし,また,アイソトープ研修所,原子炉研修所等の特別訓練コースも次第に整備されてきた。

 アイソトープ研修所においては,32年度の2回の研修に引き続き,33年度においてもさらに7回の研修が実施され,受講者は224名に達した。
 特に第5回講習会は,UNESCOの依頼による東南アジアの研修生27名を受け入れたが,その結果ははなはだ好評であった。
 研修所には,アイソトープ取扱に必要な基礎施設が完備され,広範多岐にわたって日進月歩している内容を充実させるため,講師は日本原子力研究所員のほか,部外から適当な講師を委嘱して受講者の便宜をはかっている。
 現在のコースは大学初級程度の講義を理解しうることを条件とし,期間は4週間で講義のほか演習実験および見学を行なっているが,さらに専門課程の設置が検討されている。
34年4月に日本原子力研究所に設置された原子炉研修所は,高級課程と一般課程に分れ,前者は大学卒5年以上の科学者,技術者の原子力分野への転換課程であり,34年4月に開設された。後者は大学卒2年以上のものを対象とし,原子力全般に対する知識を与えることを目的とし,34年度下期に開設の予定である。
 以上のアイソトープ研修所および原子炉研修所における本格的な訓練コースとは別に,とりあえず原子炉運転の経験を普及する意味で,JRR-1の運転に支障のない範囲での短期運転訓練が計画され,33年9月から34年9月までに5回にわたってJRR-1短期運転訓練講習会が開かれた。

2.大学における原子力関係科学者・技術者の養成

 大学における原子力関係の経費は,原子力委員会の審議対象から除かれているが,原子力関係科学者,技術者養成について大学の果す役割は,はなはだ大といわれねばならない。
 したがって,前記養成訓練専門部会の審議に際しては十分文部省と連絡をとり,成果を挙げるよう特に留意されている。
 原子力関係の学科,講座等は33年度も前年度に引き続いて新増設されたが,まだこれでは十分とはいえず,さらに今後も増設される計画である。
 なお,国立大学の33年度までの開設分および34年度増設計画は(第8-6表)のとおりである。


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