第8章 科学者・技術者の養成
§2原子力関係科学者・技術者に関するアンケート

適切なる政策の実施にあたっては,その基礎となるべき実態の把握が肝要である。このため原子力委員会は33年8 月に旧制専門学校卒業程度以上の原子力関係科学者,技術者(アイソトープ利用を含む)を対象として,民間企業,国 公立試験研究機関,大学,合計1,019機関に調査表を送付し,回答を求めた。
 その回答の結果では原子力関係科学者,技術者数は(第8-1表)に示すとおり6,321名となっている。
 これを機関別にみると,民間企業では工学関係が73.2%で圧倒的に大きな比重を占め,大学ではアイソトープを手段として使用研究する医学関係が37.9%と特に多い。
33年6月末現在までに,各機関が種々の方法で養成した科学者,技術者数は(第8-2表)に示すとおり,l,230名で原子力関係科学者,技術者現在総数の19.4%を占めている。方法別には,アイソトープ研究所が多いが,これは早くから広範にアイソトープ利用が行なわれているためと考えられる。今後はこのほか高度の原子炉技術等を修得するための海外留学および原子炉研修所を含む日本原子力研究所出向による養成が多くなるであろう。

33年3月末における科学者,技術者の不足人員は(第8-3表)のとおり総数2,164名で,現在人員6,321名に対して34.3%が不足していることになり専門分野別では工学関係が42.3%とその大半を占め,理学関係の27.8%がこれについでいる。また民間企業では工学関係の不足の度合が著しく,大学においては反対に理学関係の不足が多いという特徴を示している。


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