第3章 民間および国立研究機関における研究
§8 その他

8−1 耐放射線ペイント

 x線やガンマー線をもちいる施設には鉛板,コンクリート等の遮蔽がおこなわれるが,遮蔽施設や室内の物体からの散乱線があり実験結果に影響をあたえたり,壁,天井等の室内散乱線により体に障害をおよぼすのでこれらの基材からの散乱線を少なくすることは直接線の遮蔽と同様重要なことである。
 このため塩化ゴムあるいはビニール樹脂と鉛系顔料,酸化鉄,酸化クロム,チタン白,硫酸バリウム等をねりあわせ,塗料として厚めに試験板に塗装し,背後には鉛,コンクリート等をもちいて,CO60,Cs137の小線源および高圧x線を照射し,各種顔料,樹脂の散乱線におよぼす影響を検討している。
 このようにして種々の顔料を混合した混合顔料と種々の樹脂をくみあわせた塗料を試験板に塗装し,これにγ線等を照射し,その散乱線を測定することによつてもつとも効果的かつ経済的な顔料および樹脂の組合せをみいだすべく研究中である。

8−2 放射線により着色しないガラス

 大量のCo60からのガンマ線照射をおこなう場合取扱上窓から中をのぞくが通常のガラスでは着色してみえにくくなるので着色しないガラスを必要とする。また,ガラス中に重金属化合物を多量にふくませてガンマ線もある程度遮断することをかんがえている。このため,ガラスの溶融をおこない組成および溶融条件を決定し,試作品についてガンマ線照射による着一色度のガンマ線透過率を測定する研究をおこなつている。この場合小規模のものよりおこない中規模のものまでおこなうが31年度よりひきつづいて研究中のものである。目標はCo6からのガンマ線照射によつて106 repの線量照射によつても着色しないガラスをうることである。


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