第2章 日本原子力研究所における研究
§6 保健物理の研究ならびに放射線管理

6−1 保健物理の研究

 放射線等が人体の保健におよぼす影響ならびに人体の安全に関する研究を目的として放射線防護器材の研究ならびに放射性汚染物の除去剤として使用される酸化チタン除去剤,キレート形成剤等の研究をして,「放射性汚染物除去法」の仕様書を作成した。

6−2 放射線管理

 本研究所における放射線に対する管理として,次のようなことがおこなわれた。

I 研究室管理
 本研究所内で放射性物質および放射線を取り扱う室を管理区域としてその区域内の放射線量率分布,表面汚染度分布,排気放射能分布,および排水放射能分布等を測定し各研究室における安全度を維持した。

II 個人管理
 放射線管理区域に出入する職員に対しポケット線量計を使用して,毎日の被曝線量を測定するとともに,フイルムバツチを使用して2週間に1回の被曝線量を測定したが,全員最大許容量の1/10以下であつた。また本研究所の職員全員について,1年2回血球検査をおこなつたが全員異常が認められなかつた。

III 汚染除去管理
 放射線汚染物に対する除去機材および除去剤を整備した。

IV 野外管埋
 本研究所敷地内に2カ所ならびに研究所敷地外で,研究所より 4km以内に1カ所モニタリングステーションを設置し,連続運転をさせて,外部放射線量率の測定をした。また3カ月に1度ずつ土壌,植物,水,魚類,農産物等の環境試料を採集してこれらの放射能測定をした。このほか海岸調査についても茨城県水産試験場と協同でおこなつた。


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