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第5章 原子力利用の前提となる国民からの信頼回復

 政府事故調報告書では、事故の状況や放射線の人体への影響等についての政府や東京電力から国民に対する情報提供の仕方や内容に、多くの課題があったことが指摘されました。また、事故が発生した際の緊急時だけでなく、平時の情報提供の在り方についても課題が指摘されています [1] 。これらの課題は、国民の原子力に対する不信・不安を招く主原因の一つとなったと考えられます。この指摘も踏まえ、原子力に携わる関係者は、国民の声に謙虚に耳を傾け、必要なあらゆる取組を一層充実し、信頼を回復させていくことが不可欠です。

         

5-1 理解の深化に向けた方向性

 東電福島第一原発事故は、福島県民をはじめ、多くの国民に大きな被害を及ぼし、国民の原子力への不信や不安は依然として根強く残っています。さらに、事故を契機に、我が国における原子力利用は、電力供給の恩恵を受けてきた国民全体の問題として捉えられるようになりました。このため、国民の声に謙虚に耳を傾けるとともに、原子力利用に関する透明性を確保し、国民一人ひとりが科学的に正確な情報や客観的な事実(根拠)に基づいてできる限り理解を深め、それぞれの意見を形成していくことのできる環境を整えていくことが必要です。そのため、原子力に携わる関係者は、科学の不確実性やリスクにも十分留意しながら、双方向の対話や広聴等のコミュニケーション活動をより一層進めるとともに、国民が関心や疑問を持ったときに、自ら調べ、疑問を解決し、理解を深められるような情報提供や情報体系の整備を行っていくことが必要です。その際、インターネットやソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)をはじめとした国民の情報入手やコミュニケーションの手段の変化に対応していくことも重要です(図5-1)。      


     

図 5-1 原子力やエネルギーに関する日頃の情報源、情報収集の手段

(出典)日本原子力文化財団「 平成27年度 原子力利用に関する世論調査」(2016年) [2] を基に作成。



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