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5-3 国際的な原子力の利用と産業の動向

5-3 国際的な原子力の利用と産業の動向

 東電福島第一原発事故は、世界の原子力利用国に大きな影響を与えましたが、多くの原子力利用国では、原子力を継続的に利用し、拡大する方針が維持されています。2013年に、インフラ輸出、経済協力等を総合的に議論する閣僚会議が決定した「インフラシステム輸出戦略」の重要課題として「先進的な技術・知見等を生かした国際標準の獲得」が掲げられています [25]。この中で、原子力発電を活用し、途上国の経済開発と温室効果ガスの削減に貢献するとともに、我が国のインフラ技術の海外展開を促進し、地球温暖化対策における国際標準の獲得を目指すとされています。我が国の原子力産業が国際展開する上で、国や事業者は、国際的な核不拡散体制の枠組みに沿って、各種手続や輸出管理等を厳格かつ適切に行うことが必要です。また、原子力発電導入の導入および拡大期にある国に対しては、安全面・人材面での協力や体制整備状況に応じ、核不拡散体制、安全規制体制等のノウハウ提供等の側面支援を行うことが必要です。


(1)海外の原子力発電主要国の原子力政策・産業動向

@ 米国
 米国は2016年12月末時点で99基の発電用原子炉が稼動する世界第1位の原子力発電利用国です。ブッシュ政権下で積極的な原子力発電推進政策が打ち出されたことを背景に、2007年10月にワッツバー2号機の建設が再開され、同機は2016年10月に商業運転を開始しました。2009年1月に発足したオバマ政権下では、原子力発電についてもクリーンエネルギーの一つとしてその重要性を認識してきました。例えば、2015年11月に政府が米国内有識者を集めて開催した「原子力サミット」では、CO2排出削減の為の原子力の重要性が再認識され、原子力発電の維持拡大に向けた取組が発表されました。
 米国の原子力プラントメーカーとしては、(株)東芝の子会社ウェスチングハウス(WH)社、(株)日立製作所と提携関係を持つゼネラルエレクトリック(GE)社等が海外での原子炉の受注に向けた活動を行っています。2016年12月時点では、WH社は、米国内でボーグル3、4号機とV.C.サマー2、3号機の4基と中国で4基のAP1000を建設しています。また、チェコ、ポーランド、インド、トルコなどで受注活動を展開しています。一方GE社はインド、ポーランド、フィンランド等で受注活動を行っています。

A フランス
 フランスは原子力発電を推進してきました。2012年に就任したオランド大統領は、国内の原子力発電の割合を現行の75%から2025年までに50%に縮減すると定めたエネルギー転換法を2015年に制定していますが、現状の設備容量を上限とした新規建設や、原子力プラント等の輸出については支持しています。2001年に設立されたアレバ社が、総合的な原子力事業を行ってきましたが、2011年の東電福島第一原発事故後の経営状況の悪化を受けて、フランス政府は原子力産業界の再編を進めており、同社傘下のプラント製造会社アレバNP社が、2017年までに、国営電力会社であるフランス電力(EDF 56 )の傘下に入る予定です。
 アレバNP社の開発した欧州加圧水型原子炉(EPR)は、フランス内で1基、フィンランドと中国で計3基が建設されています。さらに英国で2基、インドで6基の建設も計画されています。

B ロシア
 ロシアは、自国資源の化石燃料を輸出に回すために、国内の発電部門を原子力等その他電源で代替する戦略をとっています。国内の原子力発電については、2030年までに28基の原子炉を新たに建設する計画です。原子炉の輸出を推進しており、原子力事業を一元管理する国営企業ロスアトムが原子炉の海外輸出を推進しています。
 2016年12月末時点で、ウクライナで2基、イランで1基、中国で2基、インドで2基のロシア製原子炉が運転中です。また、中国で2基、ベラルーシで2基のロシア製原子炉が建設中です。さらに、イランで2基、インドで2基、バングラデシュで2基、トルコで4基、フィンランドで1基、アルメニアで1基のロシア製原子炉の契約が締結済みです。ロシアは原子炉や関連サービスの供給と併せて、建設コストを賄う融資も提案しており、初期投資コストの確保が大きな課題となっている輸出先国に対するロシアの強みとなっています。

C 中国
 中国は、原子力発電の導入には積極的であり、2016年12月末時点で20基の原子炉が建設中です。中国は第3世代炉の海外からの導入と国産化に積極的であり、第3世代国産炉の華龍1号が、国内で3基建設されています。また、米WH社製の第3世代炉であるAP1000の世界初号機も浙江省で建設が進められています。2016年3月に策定された第13次五カ年計画では、2016〜20年の間に、沿海部で原子炉の新設プロジェクトを進めていくほか、大型再処理施設の建設も進めていくなどとしています。
 中国は華龍1号の海外輸出も推進する方針であり、2015年10月には、EDFとの協力の下、英国のブラッドウェルサイトに華龍1号を建設する方向で協力することで、英中両国政府首脳が合意しています。さらに、アルゼンチンにおいても、同国5基目となる原子炉として、華龍1号の建設が計画されています。2016年3月には、華龍国際核電技術有限公司(華龍公司)が設立されました。同社の設立により、異なる技術をベースに華龍1号を開発してきた中国核工業集団公司(CNNC 57 )と中国広核集団(CGN 58 )という2社の原子力プラントメーカーの技術融合の促進と、華龍1号の中国の原子炉輸出の主力ブランド化が目指されています。

D 英国
 2016年12月末時点では、6か所で原子炉の新設が計画されており、このうちウィルファとオールドベリーでは、日立GEニュークリア・エナジー(株)子会社のホライズン社が、日立GEニュークリア・エナジー(株)の開発する改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を計4基建設する計画です。また、ムーアサイドでは、(株)東芝子会社のNuGeneration社が、米WH社のAP1000を3基建設する計画です。
 我が国の原子力事業者以外では、中国企業も英国市場への進出を目指しています。前述のブラッドウェルサイトでの華龍1号の建設のほかにも、フランス電力(EDF)子会社EDFエナジーによるヒンクリーポイントC原子力発電所(HPC 59 )の建設(EPR、2基)にCGNが33.5%出資すること、EDFによるサイズウェルC原子力発電所の建設計画(EPR、2基)に対しても、CGNが出資することで2015年10月に英中首脳が合意しました。HPC建設プロジェクトについては、英政府、EDF、中国企業が2016年9月に、契約関連文書に調印しています。

E 韓国
 韓国は、原子力発電技術の国産化と次世代炉の開発など、これまでは積極的な原子力政策を進めておりました。文在寅新政権では、原子力政策の見直しを表明しております。
 なお、2016年12月末時点で、25基、2,302万kWの原子力発電所が運転中で、総発電量に占める原子力発電の割合は32%です。さらに、次世代軽水炉(APR-1400)を含め建設中が3基、420万kW、計画中が8基、1,160万kWとなっています。韓国標準型炉は国産化を終え、APR-1400については国内で新古里3号機が2016年12月に運転を開始しているほか、さらに3基の建設が進められています。政府は国産炉の海外輸出も推進しており、2009年12月に韓国電力公社(KEPCO)とUAE原子力公社(ENEC)との間で、UAE国内に4基のAPR-1400を2020年までに建設するプロジェクトに関する契約が締結されました。

F インド
 インドは増大する電力需要に対応するために、発電設備の増設や送配電インフラの整備が課題となっています。インドはNPTに加盟しなかったことから、外国から必要な核燃料等の供給を受けることができませんでした。しかし、2008年には包括的保障措置協定の未締結国に対する原子力関連資機材の輸出を行わないと定めたNSGガイドラインをインドには例外的に適用しないことが決定されました。これを受けて、米国、フランス、ロシア等は、原子力発電プラントの輸出も念頭に、インドと原子力協定を結んでいます。我が国も、2017年7月にインドとの原子力協定を締結しました。
 2016年12月末時点で、インドでは6基の原子炉が建設中ですが、さらにフランスのEPRが6基、ロシアのVVERが4基、米国WH社のAP1000が6基、建設が計画されています。

G その他の国
1) ベトナム
 ベトナム政府は1990年代後半以降、原子力発電の導入に関する検討を進め、2008年3月に政府が決定した、国内2か所に4基(計400万kW)の原子炉を建設する計画が2009年11月に国会で承認されました。建設サイトはニントゥアン省で、第1発電所については、2010年10月にロシアとの間で建設に関する協定が締結されており、第2発電所については、同年10月、日本をパートナーに選定したことが発表されていましたが、国内の経済事情を背景に、ベトナム政府は2016年11月、建設計画の中止を決定しました。

2) トルコ
 トルコでは現在、アックユ(地中海沿岸)とシノップ(黒海)の2つのサイトで、原子力発電所の建設計画が進められています。アックユについては、2010年にロシアの受注が確定しており、4基のVVER-1200が建設される計画です。建設は2018年に開始され、2022年以降、1基ずつ運転開始する見通しとなっています。シノップについては、2013年5月に三菱重工業(株)を中心とするコンソーシアムに排他的交渉権が付与され、これを踏まえ、コンソーシアムとトルコ政府との間で商業契約が合意されています。コンソーシアムは、シノップサイトの地質調査や環境影響評価等を含むフィージビリティ調査を行っています。


(2)原子力産業の国際的動向

 我が国では、2006年10月に英国原子燃料会社(BNFL) 60 傘下にあった米WH社を(株)東芝が買収したことを皮切りに、2007年6月及び7月には、(株)日立製作所と米GE社がそれぞれの原子力部門に相互に出資する新会社GE日立ニュークリア・エナジー及び日立GEニュークリア・エナジー(株)を設立しました。さらに、同年9月には、三菱重工業(株)が仏アレバ社と100万kW級中型炉の開発販売を行う合弁会社ATMEAの設立を発表しました。
 ロシアでは複数の国営企業が原子力事業を行ってきましたが、2007年12月に国営企業ロスアトムを頂点とする事業体制が確立されました。
 韓国では中核メーカーが政府の支援の下、海外からの技術導入を終え、技術の国産化を進めています。国産の韓国標準型炉の建設実績や、現在国家プロジェクトとして開発を進めている次世代原子炉の輸出を目指しており、アラブ首長国連邦(UAE)において、4基の原子炉を建設中です。また前述のとおり、中国のプラントメーカーも、海外からの導入技術を踏まえ、100万kWクラスの国産炉の開発や輸出を進めています。
 今後も、世界においては、各国の企業グループが、既存市場および新興市場において、国境を越えた激しい受注競争を繰り広げていくことになると考えられます(図 5-6)。

図 5-6 原子炉プラントメーカーの変遷(2016年12月末時点)

(出典)第3回原子力委員会の在り方見直しのための有識者会議 資料第1号 経済産業省「世界における原子力発電の位置付け」(2013年)


(3)我が国の原子力供給産業の動向

 我が国の原子力供給産業は、幾つかの企業グループを形成し、海外の大手企業(GE社、WH社等)と技術提携を行いながら、日本国内の原子力発電所建設を進めてきました。
 国内における原子力発電所の建設は、ピーク時の1970〜1980年代には年間10基を超えていましたがその後減少し、2016年12月末時点で建設中の原子炉が3基(電源開発大間、東京電力東通1号、中国電力島根3号)となっています [26]


(4)原子力施設主要資機材の輸出等における安全配慮

 我が国の原子炉施設において使用される主要資機材の輸出等を行う際に、公的信用(株式会社日本貿易保険(NEXI 61 )や株式会社国際協力銀行(JBIC 62 )による貿易保険、融資等)を付与する場合には、「OECD環境及び社会への影響に関するコモンアプローチ」(2001年) 63 遵守の一環として、公的信用付与実施機関(NEXI及びJBIC)の求めに応じて、国が、輸出相手国において安全確保等に係る国際的取り決めが遵守されているか、国内制度が整備されているか等についての安全配慮等確認を行い、情報提供を行います。
 具体的には、2015年10月に原子力関係閣僚会議において決定された「原子力施設主要資機材の輸出等に係る公的信用付与に伴う安全配慮等確認の実施に関する要綱」に基づき、関係省庁(内閣官房、内閣府、財務省国際局、経済産業省貿易経済協力局及び経済産業省製造産業局)により構成される「検討会議」が、

  • 相手国が安全確保等に係る国際的取決めを遵守しているか
  • 相手国がIAEA安全基準に従った規制を整備しているかを評価するIAEAレビューを受け入れているか
  • 輸出を行う我が国メーカーが保守補修等の安全関連サービスを提供するための態勢を整備しているか

 などについて確認を行い、公的信用付与実施機関に対し、情報提供を行います。
 これらの確認に際して、検討会議は、必要に応じて、原子力規制庁や外務省、資源エネルギー庁などに対して情報提供を求めたり、複数の外部専門家の見解を求めることとし、安全配慮等確認の依頼から5か月以内に、確認の結果を公的信用付与実施機関に通知します [27]


(5)RI・放射線機器産業の動向

 RI・放射線機器産業とは、放射性同位元素(RI)及び放射線照射装置、放射性同位元素装備機器、粒子加速装置、非破壊検査装置、医療用放射線機器等の放射線機器を製造する産業です。放射線利用は、工業分野における半導体製造、ラジアルタイヤ製造、非破壊検査等、医療分野における放射線診断・がん治療等、農業分野における品種改良等、広範な分野で利用が進められており、また、私たちの生活に密接に関連したものになっています。こうした放射線利用の進展に伴い、放射線設備・機器等の需要は増大しています。
 我が国では原子力や放射線利用に関する研究人材の交流制度を通じて海外の人材を受け入れています。しかし、途上国の人材には我が国で育成された後に母国で必要なRI・放射線施設や設備、機器などが不足しているために、研究が十分に行えない場合があります。国際協力での技術交流や共同開発、共同事業において、人的な貢献以外にもRI・放射線機器などの研究資材に関する支援が必要とされています。


  1. Electricite de France
  2. China National Nuclear Corp
  3. China General Nuclear Power Group
  4. Hinkley Point C nuclear power station
  5. British Nuclear Fuels Limited
  6. Nippon Export and Investment Insurance
  7. Japan Bank for International Cooperation
  8. 途上国等へのインフラ投資において環境や社会への影響に配慮すべきとの問題意識から、輸出国が公的信用付与を行うに当たっては、事前に環境や社会に与える潜在的影響について評価することを求めるものです。法的拘束力はないが、OECD加盟国に対し道義的義務が課されています。なお、これまでに2003年、2007年、2012年に改定され、2012年の改定では、参照すべき国際基準として、原子力の安全に関する条約及びIAEA基準が例示されました。

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