平成16年版

原 子 力 白 書
     
平成17年3月

原子力委員会





平成16年版 原子力白書 概要(75KB)





平成16年版 原子力白書 英語版(417KB)





平成16年版 原子力白書のとりまとめに当たって


 我が国における原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨とすることを基本方針とし、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的に、原子力委員会が定めた原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画に則って進められてきました。
 その結果、現在は、53基の商業用原子力発電所が稼働し、医療、農業、工業等において放射線が効果的に利用されているとともに、将来において原子力科学技術を人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに一層大きく寄与させることを目指して多様な研究開発活動が進められています。
 しかしながら、近年我が国の原子力利用の現場においてはいくつかの事故、事件が発生し、昨年には運転中の原子力発電所で死傷者が多数発生する重大な労働災害も経験しました。そこで、国や事業者はこのような事象から教訓を十分にくみ取り、再発防止に向けての対策を講じるべきは当然ですが、同時に、これらにより損なわれた原子力活動に対する国民の信頼を回復するために、これらの検討結果と対策について国民と対話を重ねることが不可欠です。
 また国際社会においては、北朝鮮やイランにおける核問題の発生や「核拡散の地下ネットワーク」の存在が露見するなど、国際核不拡散体制に対する信頼性を損ねる事態が発生しています。このような状況においては、我が国の原子力利用が核不拡散の国際約束を厳守し、厳に平和利用に限って進められていることについて国際社会の理解と信頼を得る努力が一層重要です。
 原子力委員会は、こうした状況を踏まえると新たな原子力長期計画の策定が必要であると判断し、自らも市民参加懇談会等を開催し、広聴、広報に努めるとともに、意見募集や長計についてご意見を聴く会の開催等により幅広く国民の意見を聴取しつつ、昨年6月から、この策定作業を進めています。
 そこで、本白書の本編1章では、国、地方自治体、事業者等が原子力研究開発利用活動に対する国内外の理解と信頼の確保に向けて様々な取組を行っている姿をとりまとめ、第2章にこの1年間の国内外の原子力研究開発利用の進捗状況について示すこととしました。本書が、国民の皆様が原子力に関する活動を身近に感じ、ご理解を深めていただく一助となれば幸いです。

平成17年3月
原子力委員会委員長 近藤 駿介





本書の構成と内容

 本書は前回の平成15年版原子力白書(平成15年12月)発刊以降、平成16年12月末までの原子力全般に関する動向をとりまとめた。

 本書は、「本編」と「資料編」から構成される。

 本編の第1章においては、国内外の理解と信頼の確保に向けた取組を「信頼回復に向けて」、「新たな事業実施のための信頼構築」、「国際社会の理解と信頼の確保」、「新たな原子力長期計画の策定等に向けた原子力委員会の取組」及び「これからの理解と信頼の確保について」のテーマに分けて示している。

 第2章においては、平成12年11月に策定した「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」を踏まえた国と民間の活動の最近の動向を「我が国の原子力政策」、「国民・社会と原子力の調和」、「原子力発電と核燃料サイクル」、「原子力科学技術の多様な展開」、「国民生活に貢献する放射線利用」、「国際社会と原子力の調和」、「原子力の研究、開発及び利用の推進基盤」の各分野について具体的に説明している。

 また、資料編では原子力委員会の決定等、原子力関係予算、年表等をまとめている。

 なお、原子力開発利用にあたっては、安全の確保が大前提であり、原子力安全委員会、安全規制当局、研究開発機関、電気事業者、メーカーなどがそれぞれの立場で安全の確保に努めている。このことに関する取組については、原子力安全委員会がとりまとめる「原子力安全白書」において取り扱われている。本書においては安全確保のための規制の実施に関することを除いた、原子力委員会の掌握する原子力政策全般についてとりまとめている。





目  次


第 I 部 本編

第1章 国内外の理解と信頼の確保に向けて(464KB)
1.信頼回復に向けて(147KB)
2.新たな事業実施のための信頼構築(230KB)
3.国際社会の理解と信頼の確保(40KB)
4.新たな原子力長期計画の策定等に向けた原子力委員会の取組(30KB)
5.これからの理解と信頼の確保について(21KB)

第2章 国内外の原子力開発利用の状況(1,394KB)
第1節 我が国の原子力行政(44KB)
第2節 国民・社会と原子力の調和(387KB)
第3節 原子力発電と核燃料サイクル(525KB)
第4節 原子力科学技術の多様な展開(101KB)
第5節 国民生活に貢献する放射線利用(75KB)
第6節 国際社会と原子力の調和(286KB)
第7節 原子力の研究、開発及び利用の推進基盤(58KB)


第 II 部 資料編(169KB)

1.原子力委員会、原子力安全委員会及び原子力関係行政組織
 (1)原子力委員会(19KB)
 (2)原子力安全委員会(14KB)
 (3)原子力関係行政組織(14KB)
2.原子力委員会の決定等
 (1)原子力委員会決定等一覧(11KB)
 (2)主な原子力委員会決定等(56KB)
 (3)原子炉等規制法に係る諮問・答申について(11KB)
3.原子力関係予算
 (1)平成16年度原子力関係予算総表(12KB)
 (2)平成16年度原子力関係予算重要事項別総表(41KB)
 (3)優先順位付けの対象施策(原子力関係)に関する平成17年度見積りについて(15KB)
4.その他
 (1)我が国の原子力発電所の現状(18KB)
 (2)我が国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率(27KB)
 (3)各国のエネルギー計画(15KB)
 (4)各国及び地域の原子力発電所の設備利用率(21KB)
 (5)我が国における核燃料物質保有量一覧表(16KB)
 (6)原子力開発利用年表(13KB)