第2章 国内外の原子力開発利用の状況
5.情報公開と国民の理解の促進

(3)国民の理解の促進

 原子力に関する国民の理解増進を図るため、様々な活動が行われている。これらの活動の展開に当たっては、例えば「草の根」的な広報、体験型の広報、マスメディアを有効に活用した広報を始め、インターネットなどの新しい媒体を活用した情報提供を展開するなど、実効性のある事業を体系的に実施していくことが重要である。
 国では、国民の質問などにきめ細かに対応していくため、立地地域において、施設の必要性、安全性に対する住民の疑問や不安に直接答えるべく、国の担当官や専門家が各地で説明会・座談会を実施するなど、地域の事情に応じた懇切丁寧な広報を行うとともに、全国的な活動を展開している。

図2-5-3 資源エネルギー庁のホームページ

図2-5-4 「げんしろう」のホームページ

インターネットアクセス・ポイント
科学技術庁      http://www.sta.go.jp
資源エネルギー庁 http://www.enecho.go.jp
げんしろう       http://sta-atm.jst.go.jp

図2-5-5 インターネットへのアクセス風景(サイエンス・サテライトのマルチメディア広場において)

図2-5-6 実験セミナーの風景

<対話型活動>
表2-5-2 国民の理解の促進のための活動
①シンポジウム、フォーラムの開催
②全国各地の勉強会に講師を派遣
③電話を使ったテレフォン質問箱
④国の担当官や専門家が各地で意見交換会を実施

<体験型活動>

①体験型科学館である未来科学技術情報館(新宿)、サイエンス・サテライト(大阪)の運営
②原子力関連施設の見学会
③自然放射線を実際に測定できる実験セミナー
④簡易型放射線測定器「はかるくん」の貸出し

<様々な媒体を活用した活動>

①インターネットによる情報提供
②漫画等による分かりやすいパンフレット等の配布
③テレビ・雑誌・新聞等のマスメディアを活用した広報
④パソコンゲームソフトの配布

   
図2-5-7 簡易放射線測定器「はかるくん」

「はかるくん」問い合わせ先:
(財)放射線計測協会 事業部
〒319-1106 茨城県那珂郡東海村白方白根2-4
TEL 029-282-0421

①フォーラムの開催  科学技術庁と通商産業省等の共催による「地域フォーラム」が、1996年6月以来、福島県、福井県、新潟県で計7回、延べ約3,500名の参加者を得て開催され、プルサーマル(参照)等に関するテーマで質疑応答が行われた。
 また、核燃料サイクル施設が立地している青森県でも1989年以来、国と住民の方々が直接対話を実施する「フォーラム・イン・青森」が開催されており、1998年3月までに117回、延べ約5,500名の参加を数えている。

②シンポジウムなどの開催
 通商産業省資源エネルギー庁において、「一日資源エネルギー庁」、「全国講演キャラバン」などのシンポジウム活動を実施している。1997年4月から1998年3月末までに「一日資源エネルギー庁」を計2回(東京、福岡)、「全国公演キャラバン」を計41回(全国主要都市)開催した。また、主なシンポジウムについては、通商産業省資源エネルギー庁職員がパネラー等として参加し、国のエネルギー政策、特に原子力政策について説明を行っている。

図2-5-8 一日資源エネルギー庁(東京)

③エネルギーや原子力に関する講師の派遣
 5人以上の集まりの勉強会などから依頼があれば、希望テーマに応じて原子力やエネルギーに関する専門家を無料で派遣している。1988年以来続けており、1998年3月末までに1,700回以上の派遣を行い、延べ10万人以上の参加を得ている。

図2-5-9 講師派遣による講演会

申込み先:(財)日本原子力文化振興財団 事業部 講師派遣係
〒105-0004 東京都港区新橋1-1-13
TEL 03-3597-8058
FAX 03-3580-8188

④原子力施設の見学会
 国民に実際に原子力開発利用の現場を見ていただくことが、原子力に関する理解を深める上で重要である。国では、20人以上の集まりから要望があれば、原子力施設の見学会を手配しており、1998年3月末までに285回開催され、延べ約6,300人の参加があった。

申込み先:(財)日本原子力文化振興財団 事業部 一般見学会係
〒105-0004 東京都港区新橋1-1-13
TEL 03-3504-1381
FAX 03-3580-8188

⑤青少年に対する正確な知識普及
 青少年に対する原子力についての正確な知識の普及は、より多くの人々が原子力に対する客観的な判断を持つようになる上でとりわけ重要である。青少年の原子力に関する学習機会を確保するため、各地の科学技術館においても、原子力関連展示の充実や事業者の広報施設における青少年向け展示の充実が図られてきている。新しい情報発信源として1995年12月に東京・新宿にオープンした未来科学技術情報館に続き、1997年12月には大阪・扇町にサイエンス・サテライトがオープンし、開館以来、平日約500人、土休日には1日約2,000人の入場者を数え、1998年3月末までに延べ12万人の来館があった。
 また、学校教育において原子力を取り上げることの重要性にかんがみ、関係省庁の緊密な連携の下、学校向け副読本の作成、現場のニーズに応じた教師の研修などが行われている。

図2-5-10 サイエンス・サテライト(大阪・北区扇町)

図2-5-11 青少年を対象とした実験教室の開催(サイエンス・サテライト「おもしろ体験広場」において)

<サイエンス・サテライト>
開館時間:午前10:30~午後6:30
休館日 :月曜日(ただし、その日が休日の場合は除く)
     休日の翌日(ただし、その日が土日休日の場合は除く)
     年末年始(12月28日~1月4日)
場  所:〒530-0025 大阪市北区扇町2-1-7 扇町キッズパーク3階
TEL :06-316-8110

図2-5-12 未来科学技術情報館(東京・新宿)

<未来科学技術情報館>
開館時間:午前10:30~午後6:30
休館日:第2、第4火曜日(12月29日~1月3日)
場  所:〒163-0401 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビルディング1階
TEL:03-3340-1821

⑥原子力の日を記念した活動,BR>  我が国では、広く国民一般の原子力平和利用についての理解と認識を深めることを目的として10月26日を「原子力の日」と定めている。この日は、1956年に我が国が国際原子力機関憲章に調印した日であるとともに、日本原子力研究所が1963年に我が国で初めて原子力による発電に成功した日である。この日にあわせ、科学技術庁と通商産業省資源エネルギー庁が共同し、公募により「原子力の日」のポスターを選定しているほか、中学生・高校生を対象とした原子力に関する作文・論文コンクールにおいて科学技術庁長官賞の表彰を行うなど、各地で関係機関による様々な行事が行われている。1997年度の第34回原子力の日については、9月から11月を中心に511件の行事と279件の広報が関係機関により行われている。


原子力文化振興財団主催、科学技術庁・文部省・通商産業省支援

図2-5-13 中学生・高校生作文論文コンクール表彰式

図2-5-14 1997年度「原子力の日」ポスター

⑦原子力モニター制度
 科学技術庁は、昭和52年度以来、国民の率直な意見を原子力行政に反映するため、都道府県から毎年約600人の推薦を得て、原子力モニターを委嘱してきた。1996年度からは、従来の都道府県からの推薦に加え、一般公募で500人の原子力モニターを募ることとし、また、原子力について十分考えてもらえるよう、任期を従来の1年から2年間に延長した。
 さらに、任期終了に伴う1998年6月のモニターの改選のために行った一般公募では、一般公募の定員600人に対して、9,101人の応募があった。
 本制度では、モニターからの原子力に関する意見などの報告を受けるとともに、モニターの懇談会や原子力施設の見学会などを行っている。

図2-5-15 原子力施設の見学会

⑧対話集会
 様々な意見を持つグループの主催する集会に国や関係機関の職員を派遣し、原子力政策を説明し、グループの意見、疑問点への回答を行っている。1995年5月以来、大阪、神奈川、長野、東京、京都において合計13回(1998年5月末現在)実施された。

⑨電話、ファクシミリ等による質問への対応
 原子力などに関する質問を電話で受け付ける原子力テレフォン質問箱や、ファクシミリまたは手紙により質問、意見を受け付ける原子力発電目安箱を設け、国民の疑問に個々に回答している。

<原子力発電目安箱>
問い合わせ先:
通商産業省 資源エネルギー庁
原子力広報推進室内 原子力発電目安箱宛
〒100-8931 東京都千代田区霞ヶ関1-3-1
FAX:03-3591-8566

<原子力テレフォン質問箱>
問い合わせ先:(財)原子力発電技術機構
TEL:0120-119433(フリーダイヤル)
「原子力なんでも相談室」は平成17年に廃止されております。
受付時間:月曜~金曜10:00~12:00、
13:00~17:00(休祝日を除く)

<原子力公開資料センター>
TEL:03-5804-8484
FAX:03-5804-8485
受付時間:午前10:00~午後5:00
(休祝日、年末年始、10月1日を除く)


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