第2章 国内外の原子力開発利用の状況
1.動燃改革について

1995年12月の「もんじゅ」事故以降の動燃の一連の事故及びその後の不適切な対応により、原子力に対する国民の不安感、不信感が高まりました。
このため、科学技術庁は、動燃を抜本的に改革することとし、1997年4月から「動燃改革検討委員会」において、動燃改革の基本的考え方について検討を行うとともに、その検討結果を受けて「新法人作業部会」において、改革の具体的な検討を行いました。
この結果、動燃は新法人として解体的に再出発させることとされ、1998年5月、動燃を核燃料サイクル開発機構に改組するための法律が成立しました。
また、これらの取り組みと並行して、科学技術庁や動燃において自己改革が推進されているところです。

 1997年3月、動燃東海事業所アスファルト固化処理施設において火災爆発事故が発生し、さらに、事故に関して虚偽報告がなされるなど事故は不祥事に拡大した。こうした事故の発生及びその後の動燃の対応に関し、1995年12月の高速増殖原型炉「もんじゅ」事故の教訓が全く活かされなかったとの厳しい批判を受け、これらの一連の事故及びその後の不適切な対応の結果、原子力に対する国民の不安感、不信感が高まった。
 こうした状況を踏まえ、事故の当事者たる動燃はもとより科学技術庁においても深い反省に立ち、動燃の抜本的改革が急務であるとして、1997年4月、「動燃改革検討委員会」を発足させ、動燃改革の検討に着手した。同委員会は、1997年8月に報告書「動燃改革の基本的方向」を科学技術庁長官に提出し、動燃を新法人として解体的に再出発させる旨の改革の基本的方向性を示した。

図2−1−1 動力炉・核燃料開発事業団の改革について

 なお、同委員会における検討の前提として、原子力委員会において、動燃の一連の事故に関連し、核燃料サイクルの重要性はいささかも変わるものではない旨の確認がなされており、その趣旨は1997年6月に原子力委員長談話として公表されている。また、同委員会報告書において、高速増殖炉の取り扱いについては、原子力委員会高速増殖炉懇談会の審議結果を踏まえつつ、適切な対応をとることとされた。
 同報告書を受け、科学技術庁では動燃改革の具体化に向けてさらに検討を進めるため、「新法人作業部会」を発足させ新法人の設立に向けた改革の具体的項目について調査・検討を進めるとともに、他方、動燃においても、新法人の設立までの間に実施すべき自己改革の推進に着手した。同作業部会は、1997年12月、新法人の基本的な姿を示した中間報告書「新法人の基本構想」を取りまとめ、科学技術庁長官に提出した。
 同中間報告書を受け、科学技術庁において動燃改革のための法律改正が検討され、動燃改革に関する原子力委員会決定を踏まえて、1998年2月に、動燃を「核燃料サイクル開発機構」(以下「機構」という。)に改組するための「原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案」(以下「動燃改革法案」という。)が閣議決定され、国会に提出された。また、動燃においては、自己改革の本格的推進が進められる中、同中間報告書に基づき個別具体的な改革の諸事項の詳細化の検討が進められている。
 動燃改革法案は、衆議院科学技術委員会、衆議院本会議、参議院文教・科学委員会を経て、1998年5月13日に参議院本会議において原案通り可決され、成立した。


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