パキスタンによる核実験の実施について(声明)

平成10年5月29日
原子力委員会

 1.
28日、パキスタン首相より同国が地下核実験を実施した旨発表があったが、先般のインドの核実験に対して国際社会が強く非難し、パキスタンに対しては我が国をはじめ各国が予め最大限の自制の要請を行ったにもかかわらず、パキスタンが核実験を実施したことは、核兵器の究極的廃絶を希求する我が国国民の願いに逆行するものであり、極めて遺憾である。

 2.
当委員会としては、「核兵器の不拡散に関する条約」の無期限延長や「包括的核実験禁止条約」の批准に伴う「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正の際、原子力の平和利用を円滑に進めるためには核不拡散体制の維持・強化が不可欠であるとの基本的認識を示してきたところである。

 3.
今般、パキスタンがインドに続いて核実験を実施したことは、当委員会が先般のインドの核実験に対して表明したのと同様、「核兵器の不拡散に関する条約」及び「包括的核実験禁止条約」の趣旨に反するものであり、核不拡散体制の維持・強化にとって重大な問題と受け止めている。当委員会としてはパキスタンに対して核実験及び核兵器開発の即時中止を強く求めるとともに、核兵器のない世界に向け、核不拡散体制の維持・強化のための取り組みを含む適切な措置が講じられるよう政府が最大限努力することを要請する。