原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進について

                            平成8年9月25日
                             原子力委員会決定

原子力委員会は、平成8年6月24日第5回原子力政策円卓会議において、同会議より、原子力に関する情報公開及び政策決定過程の国民参加の促進について必要な措置を取るよう要請を受けたところであるが、当委員会としては、本件について下記の通り対応することとする。

  記  

 「国民とともにある原子力」を目指すためには、原子力活動全般にわたる透明性を確保しつつ原子力政策を進めていかなければならない。また、このような活動を地道に進めることによってのみ、国民の信頼感、安心感を得ることができる。

 こうした認識の下、原子力開発利用に当たっては、これまでも情報公開に努めてきたところであるが、昨年12月に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故が地元の方々はもとより、国民全体に原子力に対する大きな不安感、不信感を与える結果となったことを反省し、その教訓を今後の原子力開発利用に的確に反映して行かねばならない。

 当委員会としては、原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加を促進するための施策を講じることが、とりもなおさず今後の原子力開発利用に対する国民の理解と信頼の回復を図り、国民的な合意形成に資するものであるとの認識の下、以下の施策を順次講じるとともに、引き続き改善を図っていくことが重要と考える。また、国民に対する積極的な情報の提供や広報のあり方に関しては、できる限りわかりやすい情報の提供に努めるとの観点から、いっそうの改善を図ることが重要と考える。

 当委員会としては、関係行政機関に対しても、本決定の趣旨を踏まえた具体的措置に関する検討を行うことを求める。

  1. 政策決定過程への国民参加
  2.  原子力政策の決定過程において、広く国民の意見を十分取り入れることが重要との考えから、当委員会は、政策決定において重要な役割を担っている専門部会等の報告書の策定に際し、国民に意見を求める。

     具体的には、原則として以下の手順を踏むこととする。

    1. 報告書案を一定期間公開し、これに対する具体的な意見を募集する。
    2. 応募のあった意見を検討した上、反映すべき意見は採用する。
    3. 不採用意見については、理由を付して報告書と併せて公開する。

  3. 原子力に関する情報公開の充実
  4.  原子力開発利用に当たっては、情報を公開することが原則であることを改めて認識し、情報公開を一層推進する。

    (1)原子力委員会の専門部会等の公開

     当委員会の専門部会等の会議を原則として全て公開とする。ただし、核不拡散、核物質防護、外交交渉に関する事項を扱う等個別の事情により非公開とするか否かについては、各専門部会等が判断する。

    (2)情報公開請求への対応体制の整備

     原子力情報に関する公開請求に対して、迅速かつ適切に対応するため、関係行政機関と連携を図りつつ、体制整備を行う。
     また、インターネットを活用して、議事録、会議資料等を速やかに提供する。
     なお、核不拡散、核物質防護、財産権の保護、外交交渉に関する事項等慎重に取り扱わざるをえない情報については、その理由を示すこととする。また、政府部内における情報公開法の検討状況については、今後とも注視し、適切な対応を図っていく。

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